メーカー向け価格調査ツールのプライスサーチ 【徹底解説】アップリカ 独占禁止法違反

公正取引委員会は、令和元年7月1日付でアップリカ・チルドレンズプロダクツ合同会社に対し独占禁止法違反に基づく排除措置命令を行いました。アップリカはどのようなことをしたのか、なぜ独占禁止法に抵触してしまったのかについて解説します。

行為の概要

アップリカ社は少なくとも平成28年5月から平成30年8月まで、下記の行為によって、小売業者に対しアップリカの育児用品をアップリカが指定する価格で販売することを継続的に強制していたと見受けられます。

アップリカ違反行為の概要

①小売業者の販売価格を把握

  • 「ネットポリス」という専門チームがインターネット上の販売価格を毎週調査し、逸脱売価で販売している小売業者を一覧化した「逸脱リスト」を営業本部内の各チームに共有
  • 小売業者のチラシ広告(新聞折込・ウェブチラシ)に掲載される販売価格を事前に確認する
  • 逸脱売価で販売する小売業者への苦情を受け付ける

②提案売価で販売するよう要請

  • 把握したデータを元に、逸脱売価でアップリカの育児用品を販売しているまたは販売しようとしている小売業者に提案売価で販売するよう、「自ら要請を行い、または取引き先事業者に要請」をさせていた。

③要請に従わない小売業者への出荷を取り止める

  • この要請にも関わらず、逸脱売価で販売し続ける小売業者に対しては、アップリカの育児用品の「出荷を停止し、または取引先事業者に取引を停止させる」ようにしていた

今回独占禁止方に抵触してしまった行為は、「③要請に従わない小売業者への出荷を取り止める」です。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jul/sanjo/190701_02sankou1.pdfを参照

独占禁止法の規制対象となる行為

メーカーが小売業者の販売価格を一方的に決定し、拘束してしまうことは、「小売業者同士の価格競争を衰退もしくは消滅させ、公正な競争に基づく経済の発展が阻害される恐れがある」ため、独占禁止法の規制対象となっています。

拘束の形態は、契約などによる直接的な拘束から、要請に従わない場合にリベートを削減するなど間接的な拘束まで幅広く定められています。

流通取引ガイドラインでは再販売価格の拘束と捉えられるケースが例示されており、アップリカの行為は

  • 事業者の示した価格で販売しない場合に「出荷停止等の経済上の不利益(出荷量の削減、出荷価格の引上げ、リベートの削減、他の製品の供給拒絶等を含む)」を課す場合、又は課す旨を流通業者に対し通知・示唆する場合

上記の出荷量の削減に該当してしまいました。

価格調査は違法?

自社製品の流通価格を把握することは違法ではありません。
アップリカの行為の内、
①小売業者の販売価格を把握は問題ありません。

ガイドライン上でも、

  • 事業者が単に自社の商品を取り扱う流通業者の実際の販売価格、販売先等の調査(「流通調査」)を行うことは、当該事業者の示した価格で販売しない場合に当該流通業者に対して出荷停止等の経済上の不利益を課す、又は課す旨を通知・示唆する等の流通業者の販売価格に関する制限を伴うものでない限り、通常、問題とはならない。

と明記されています。

提案売価を伝えることは違法?

メーカーとしてはこのくらいの値段で売りたい、と小売業者に伝えることは違法ではありません。
ガイドライン上では

  • 事業者が設定する希望小売価格や建値は、流通業者に対し単なる参考として示されているものである限りは、それ自体は問題となるものではない。

とされています。
通知にとどまらず、契約や口頭による合意で通知に従うよう定めたり、通知に従わない場合にリベートの削減や出荷停止などを行うことで間接的に通知に従わせたりする場合は違法となります。

おわりに

今回は、「平成30年4月に公正取引委員会から立ち入り調査があったのにも関わらず、同年8月まで再販売価格の拘束を続けていた」ことが、排除措置を命じられる1つの要因となりました。立ち入り調査や警告があった場合は、排除措置命令や課徴金が課される前に違法行為を直ちに取り止めるよう注意するべきでしょう。

再販売価格の拘束に関しては、小売の流通価格を調査すること、小売に提案売価を通知することは問題ありませんが、これらを通じて、出荷停止などの強制力をもつ手段を以って価格調整に従わせてしまうと違法となります。

本件について公正取引委員会が公開している記事はこちら

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